教員紹介 ~数理物質系准教授 坂井公先生

-どんな高校生でしたか?
Prof.Sakai数学よりも物理や化学が得意でした。数学は好きだったけど、いわゆる受験数学はそれほど得意ではなかったので、物理か化学でもやろうかと思って大学の理学部に入学しました。大学に入ってから、高校までとは違う数学の世界を知り、「やっぱり数学は面白いなあ」と思ったのと就職に有利かなと考えて、数学を使う計算機科学の分野ということで、情報科学科に進みました。
大学院修士課程を修了後、民間企業に勤めました。研究部門に行きたかったのですが、営業部に配属されました。研究がしたかったのに、できない状態が続き、会社を辞めようと思っていた頃、当時の通産省(現・経済産業省)が第五世代コンピュータプロジェクトをスタートさせたので、企業からの出向という形でそのプロジェクトに参加しました。10年たって、そのプロジェクトが終了したときに、筑波大学に着任しました。
-企業の営業職から大学教員というのは非常に珍しい経歴では?
確かに、いままで他にはそういう人にあったことはないですね。企業から大学に来て思うのは、大学は自由度が高いということです。好きなことをやっても怒られないし、上司の顔色をうかがわなくてもいいですからね。だから、大学の先生の中には、有能ではあっても,企業ではとても勤まらないだろうなというような、とても変わった人もいます(笑)
-先生は「日経サイエンス」で「パズルの国のアリス」という連載を持たれていますが、なぜアリスなんですか?
小さいころから、数学パズルは好きでした。高校までは教科書に載っているような数学はつまらなかったのですが、雑誌などに載っているパズルは大好きだったんです。アリスは、子供のときにディズニーの映画か絵本かで見たときに、チェシャ猫のようなキャラクターが非常に印象的でした。高校時代に、英語の勉強のために何か原著で一冊読もうと思ったんですね。その時に、「不思議の国のアリス」の著者のルイス・キャロル(本名チャールズ・ドジソン)が数学者であったということから親近感を持ったということもあり、アリスを読むことにしました。
そんなこともあり、日経サイエンスで数学パズルの連載が決まった時、ただの数学の話よりは、アリスの物語の中にパズルを埋め込んだものにしようと思ったのです。幸い編集部には好評でしたし。
-GFEST生へのメッセージ
特別実習等で接していると、皆さんとても優秀です。優秀な高校生には、「こういうことをやりなさい」というよりも、様々な教材は与えるけど、後は余計なことを言わずに見守るのが一番良いと思って,なるべくそのように対応しています。
高校までの教科で学ぶ数学は、問題を解くための数学、入試のための数学ですが、大学で専門科目として学ぶ数学はそれとは全く異なります。大学に入ってから、数学が大好きになる人もいますが、逆に高校時代までは得意だったのにできなくなる人もいます。
GFEST生の皆さんには、数学だけでなく幅広く興味を持って、色々な分野を探求していってほしいと思います。数学だけをとっても、いま学校で勉強している方向以外にも、非常に広大な領域が探求されるのを待っています。各自の興味の方向を制限するものは何もありませんから、自己の関心に従って自由に勉強して行ってください。ただ,ひとつ確実に言えるのは,どの方向に(たとえ数学以外に)進んだとしても、高校数学で勉強したことが基礎になります。だから,いま学校で習っているようなことも、決しておろそかにはしないでください。
●坂井公先生HP
●TSUKUBA FUTURE