講義<2024.11.17>

2024年11月17日、筑波大学春日地区にて3つの講義を実施しました。

講義1 「未知の惑星の地図を眺めながら想像で散歩してみよう」筑波大学数学類 山本 光 先生

山本先生から与えられたのは、28枚に分かれた未知の惑星の地図。数学なのに惑星?と受講生が首をかしげる中、「地図の上を自由に散歩し、その惑星の形を考える」というお題が出されました。紙を切り貼りして考える人、頭の中だけで論理的に考える人、一人で取り組む人、グループで話し合う人など、いろいろなやり方で解答を試みました。2時間じっくりと試行錯誤しながら、幾何学の考え方を楽しく学ぶことができました。

<受講生の感想>

★自分の想像力や発想力を利用する、とても面白い内容だと思った。自分は基本、地図を繋げて導こうとしたが、他の受講生の中で論理的に解いて形を導き出した人達がいたため、自分とは違ったやり方を知ることができる、良い機会だったと思った。(高2)

★今回の講義で学んだ位相幾何学や多様体論は、正直言ってとても不思議に感じました。特に地図作成が印象に残っています。最初は普通の地図を作っている感覚で進めていたのに、だんだん形が不思議になっていき、最終的に完成した地図は全く想像していたものと違っていて、驚きました。最初はどうしてこんな形になるのか全然わからなかったのですが、少しずつその意味がわかってくるにつれ面白さを感じました。この講義を通して、数学がただ計算や公式を覚えるだけではなく、もっと深い発見があることに気づくことができ、とても貴重な経験になりました。(高2)

★アインシュタインの話のように、分野と分野の架け橋の大切さにとても共感した。実際、GFESTや学校で自分の知らない分野の話を聞くと、自分の分野との意外な関連性が見つかったりする。また、自分の分野の書籍を読んでいる時に他の人からたまたま聞いた話が出てくるということもある。一つの分野を突き詰めていくためには、多くの分野を幅広く学ぶ必要性があることを、今回の講義を通して再確認した。(高1)

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講義2 「理科系の作文技術を磨きましょう」筑波大学 生存ダイナミクス研究センター 丹羽 隆介 先生

丹羽先生には、受講生が書いた文章を例として取り上げていただき、どこがわかりにくいのか、どうすれば改善できるのかを丁寧に解説していただきました。その中でも、一文が長いという特徴は、多くの受講生の文章に見られる悪い癖です。『1つの文章は短く!』を実行するのは、それほど難しいことではありません。ぜひ、文章を書いたら見直しをする習慣を身につけましょう。

<受講生の感想>

★送ってもらった本を一通り読んだが、実際のところは使えるほど自分の中に落とし込めていなかった。「science is a writing business」という言葉は、書く技術が科学において重要視されていることを端的に表している。自分の選択分野にかかわらず、すべての人に書くことへの意識を高く持つ必要性が求められているという危機感を覚えた。 しかし、毎日必ず接する言葉だからこそ、1回、1回で今回の講義のポイントを踏まえて実践していけば改善できる。こんな大切なことに高校生の今、気づくことができて本当に良かった。

★「Science is a writing business」から講義は始まり、私は文章作成に対する考えが大きく変化した。今までは、読める文章であれば問題ないと考えていた。しかし、「読める文章=わかりやすさ=他人がスムーズに読めるか」という考え方が新たに加わった。一番納得した文章作成のポイントは、文を短くすることだ。文章を書くときには、様々な気持ちや言葉を付け加えたいので、長い文章になってしまうことがある。だが、長い文章は、主語が消えること、一番伝えたいことが不明瞭になること、次の文章へ続く流れが悪くなることなど、様々なデメリットを発生させる。このデメリットは、読み手を混乱に導くだけでなく、書き手にとっても伝えたいことが伝わらない不都合を生じさせると実感した。研究を続ける上で、文章を書くことは必須だ。自分の書いた文章が研究の質や未来を左右するときがくるかもしれない。”これまで書いた文章”の書き換えは叶わないが、”これから書く文章”は自分も損をせず、読み手に伝えたいことを伝えられる文章を書いていこうと思う。

★ところどころ笑いもあって、楽しみながら聞くことができた。自分の文章はなかったが、実際に同じ年代が書いている文章についての指摘を具体例としてあげていたため、自分に当てはまる点がより多く、よく理解して聞くことができた。意見と事実は、いまだに分けることが難しいので、試行錯誤して行きたい。

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講義3 「薬から知る最新医学」「効果的に伝わるプレゼン」理化学研究所 バイオリソース研究センター 三輪 佳宏 先生

三輪先生には薬理学とプレゼンテーション技術についてのお話しを、2本立ててしていただきました。「世界の中で、日本は医療先進国か」という問いに対し、先生のお話しを聞く前と後では回答が変わった受講生がいたのではないでしょうか。どのデータを基に考察するかは難しいですね。

前半は専門的な内容がありましたが、三輪先生のわかりやすい説明とテンポの良さで、受講生の集中力が途切れることはありませんでした。後半は、受講生を魅了したお話しにはどんな仕掛けがあったのかを教えていただきました。効果的なプレゼンの秘訣をたくさん教えていただいたので、ぜひ自分に合ったやり方を見つけて実践してもらいたいです。まずは、12月の個人研究中間発表でその成果が出せるようがんばりましょう!

<受講生の感想>

★プレゼンの講義の中で、声の大きさや高さによって効果的な技法があるという話がとても印象的だった。中でも重要な話を少しゆっくりにすることや、間を取ることを今後のプレゼンで活かしてみようと思った。さらに、人の注意を発表に向けさせるイントロを考えてみようと思った。(高2)

★三輪先生の講義はどれも大変面白く、わかりやすく、楽しく聞けました。今まで受けて来た講義の中で最も楽しかったと言っても過言ではないくらいです。 ちょうど学校の化学の授業で、ある頭痛薬に含まれる解熱鎮痛薬であるアセチルサリチル酸(アスピリン)を学んだのですが、どういうふうに働くのか、他の頭痛薬との違いは何なのかは知りませんでした。しかし、今回の講義で詳しく学べて理解できたので、学校で薬の成分に関心のある友人に講義の内容を伝えました。プレゼンについて、科学的なコツを教えていただいたのは初めてでした。私は学校でのプレゼンは得意な方ですが、教わることはなく、クラスメイトのプレゼン発表を見てお互いに良い部分を取り入れて成長し合うという形でした。 しかし、今回の講義では今すぐにも実践できることが多く、この上なく分かりやすかったです。(高2)

★今回薬理学の話を聞いて、実生活で化学の知識が応用されていることを初めて実感できました。特に印象に残ったのはプロドラッグの話です。服用するときはまだ作用しないけれど、吸収した後に代謝などの体内の働きによって薬に変化するという仕組みは研究努力の賜物だなと思いました。また、その仕組みが構造式が変形する際の理論と対応していることが講義の中で分かり、学問と実生活が結びついていることの面白さを実感しました。今まで少し実生活への関わりを感じることが出来なかった概念や計算も、理解を深めていけば今回の事例のように応用されているものなのかもしれないと思うと、一層勉強を頑張ろうと思いました。  また、プレゼンスキルの講義では、メタ認知を「相手に興味を持たせる仕掛け」としてプレゼンに組み込もうとする考え方に衝撃を受けました。私は、メタ認知を「自分の事をより俯瞰的に捉えるもの、または物事を俯瞰してみるもの」というように自分の中だけで完結する概念だと思っていたのですが、他者に働きかけるときにも応用することが出来るという考えを知ってとても驚きました。(高2)

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