白川先生と尾嶋の共著が出ます。「『ロウソクの科学』が教えてくれること」

皆さんはマイケル・ファラデーを知っていますか?19世紀を代表する科学者で、「ファラデーの時代にノーベル賞があったら、6回は受賞していただろう」と言われいます。「ファラデー定数」「ファラッド」など、ファラデーの名前がついた単位もありますね。
ファラデーは1791年にイギリスで生まれました。家庭が貧しく、小学校を卒業すると製本店で働き始めます。製本中の本を読み、科学に興味を持ち、独学を続けたファラデーは、イギリス王立研究所で行われた科学講演を聞き、「自分も科学の道に進む」と決意するのです。
絶え間ない努力と、長時間に及ぶ研究により、電磁誘導などを発見したファラデーは科学教育にも熱心でした。少年少女へのクリスマスプレゼントとして、ファラデーが始めたクリスマスレクチャーは今も王立研究所で続いています。
1860年にファラデーがクリスマスレクチャーとして行った講演が「The Chemical History of a Candle」です。ロウソクがなぜ燃えるのか、ロウソクが燃えるときにできるものは何か?私たちとロウソクの類似性とは何か?と言ったことが実験と解説で明らかにされていきます。
日本でも「ロウソクの科学」として、多くの人たちに影響を与えてきました。2016年のノーベル生理学医学賞受賞者の大隅良典先生もこの本をきっかけにして科学者を志したそうです。ただ、実験を文章で追うのは困難です。そのため「読み始めたけど挫折した」という人が多い本でもあります。
今回の本は、実験の写真をふんだんに盛り込み、最後まで読みとおせるようにしたつもりです。私(尾嶋)は、化学分野が得意ではなく、不安があったので、GFESTでお世話になっている白川英樹先生に監修をお願いしました。
実験写真の撮影では、GFEST修了生で、現在筑波大学生となっている2名がお手伝いをしてくれました。
GFESTから生まれたといっても過言でない本です。是非、皆さんに読んでいただければ幸いです。

「『ロウソクの科学』が教えてくれること」
SBクリエイティブ2018年12月15日
監修者:白川英樹(しらかわ ひでき)
筑波大学名誉教授。1936年、東京府(現・東京都)生まれ。小学校から高校卒業までを飛騨高山で過ごす。東京工業大学理工学部化学工学科卒業、同学大学院理工学研究科博士課程修了。工学博士。東京工業大学資源化学研究所助手、ペンシルベニア大学博士研究員、筑波大学助教授、同教授をへて、同学を定年退官。2000年、「導電性ポリマーの発見と開発」により、アラン・マグダイアミッド、アラン・ヒーガー両教授とともにノーベル化学賞を受賞。現在は子どもを含めた後進の育成に励んでいる。
編訳者:尾嶋好美(おじま よしみ)
筑波大学GFESTコーディネータ。東京都生まれ。北海道大学農学部畜産科学科卒業、同大学院修了。筑波大学生命環境科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。筑波大学にて、科学に強い関心を持つ小中高校生のための科学教育プログラムを10年間にわたって企画・運営。現在は「科学実験を通して、論理的思考力や自主性が養われる」という考えのもと、親子向け科学実験教室も実施している。著書は『「食べられる」科学実験セレクション』『家族で楽しむおもしろ科学実験』(サイエンス・アイ新書)など。

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