2021年6月27日にGFESTサイエンスカフェとして白川英樹先生にサイエンスカフェを行っていただきました。
4月3日にも白川先生にサイエンスカフェをお願いしました。そのときには、先生がどのようにして科学に興味を持たれたかということを中心にお話しいただきました。その際のGFEST受講生レポートに、「今度は研究の話を中心にしたお話を伺いたい」とう意見が複数あったことから、今回は導電性プラスチックの研究の歴史、その中でも白川先生がどのような実験を行ったのかを中心にお話しいただきました。
絶縁体だとされていた有機化合物ですが、「二重結合と単結合が交互に長くつながっている状態なら、理論的に電気が通るのではないか?」ということで、1940年代後半から様々な研究が行われていました。しかし、なかなかうまく行かず、研究は下火になりました。
白川先生は博士号取得後の1960年代後半、「粉末になるはずのポリアセチレンがボロボロの膜状になった」という実験結果をきっかけとし、ポリアセチレンの薄膜を得ることに成功しました。薄層になったことで、赤外線等による解析が可能となり、研究が進みます。
1975年にアラン・マクダイアミッド博士が東京で講演した際に、ポリアセチレンの薄層を見せたところ、非常に興味を持たれ、共同研究を持ちかけられたそうです。1976年9月に渡米。アメリカ・ペンシルバニア大学で研究を進めていました。11月23日に、ポリアセチレンに臭素を入れたところ、電気伝導度が臭素添加前の50万倍以上となり、大騒ぎになったそうです。
「失敗したと思った実験が、大発見のきっかけだった」のですが、これは「やってきた偶然」ではなく「Prepared mind」があったからだとのことでした。「あらかじめ学んで身につけた知性」があって、初めて「偶然を迎えに行くことができる」んですね。「当たり前を疑う。何事にも積極的に行動する」というメッセージをGFEST生に送っていただきました。