第4回全体プログラム地学分野・角替 敏昭先生&田中康平先生<2021.12.5>

2021年12月5日に筑波大学生命環境学群地球学類長の角替先生と同じく地球学類の田中康平先生に講義をお願いしました。


角替先生はこれまで2回、南極の調査隊で活動され、第52次南極地域観測隊では地質隊のフィールドリーダーとして活躍されました。今回は南極での調査の写真をたくさん交えて「南極の岩石からみた地球の進化」についてお話しいただきました。

「天然のアーカイブを解析する事で、地球の歴史を明らかにし、未来を予測できるという事が印象的だった」という感想があったように、岩石からわかることがたくさんあることがわかりましたね。


■角替先生の講義で一番印象的だったことを、明日友達に話すとしたらどう話しますか?

「何十億年も前の地球の様子を知るためにはどのような方法があるのか?例えば、海がいつごろから地球にあったのかを知るためには、花崗岩の存在がキーになる。水分がプレートが沈み込む部分に混ざりこむことで、マグマが生まれ、これが地上に浮上していく中で、マグマの温度が下がり、最終的に花崗岩が生成する。よって、花崗岩が存在しているということは、その花崗岩が生成した時代には海が地球上にあったことを意味する。この理論に従って調査をすると、海は少なくとも44億年前には存在したことが分かった。このようにして、気の遠くなるような太古の昔の環境を解き明かしている。」(高2男子)

「南極で地質調査をする意義は、先カンブリア時代の地球史を紐解くことにある。44億年前には地球表層が固結して海洋が形成されていたことや、超大陸の形成時に大陸が成長することなども、先カンブリア時代の岩石から解き明かされてきたものである。」(高2男子)


田中先生には、「恐竜の生態学:どうやって化石から生態を推定するか」というタイトルでお話しいただきました。恐竜の大きさは化石が残っているので、推測が可能です。

でも、「恐竜がどのように卵を孵化させていたのか?」というような「生態」については、残りようがありませんね。田中先生は恐竜の卵の殻にある細かな穴の大きさと数を調べ、現存するワニや鳥類の卵と比較しました。それにより恐竜の謎を解き明かしていったのです。


■田中先生の講義で一番印象的だったことを、明日友達に説明するとしたら、どのように話しますか?

「オヴィラプトロサウルス類という恐竜の卵について研究するときに、今いる動物の卵や生活と比較している。例えば、抱卵しないワニと抱卵する鳥の卵で卵の間隙率で調べたり、存在している卵の強度を調べたりと、身近な動物の研究が、数億年前の恐竜の生活を知ることにも繋がるというのが印象的だった。」(高1女子)

「私が講義で一番印象に残ったことは、卵には間隙があり、抱卵するかしないかで間隙の頻度が変わることなので、このように説明する。

  • 卵が孵化するには、酸素と水と熱が必要。
  • 抱卵する場合、外は乾燥しているので、水分を逃さないように間隙が少ない。
  • 抱卵しない場合、卵に熱を与えるために卵を地中に入れることが多い。空気を取り込みづらい環境のため、空気を必要なだけ取り込めるように卵に間隙が空いている。」(高1男子)


「地学」の授業がない高校が増えています。早稲田大学の高木秀夫先生の調査によると全国で「地学」が開設されているのは361校のみ。GFEST受講生の所属校の中でも地学の授業がない学校が多いですね。今回の講義で、地学の面白さを初めて知った人も多いでしょう。「受験に関係するから学ぶ」のではなく、「面白いから学ぶ」というきっかけになってくれることを願っています。

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