講義<2025.11.9>

2025年11月9日、筑波大学筑波キャンパスにて3つの講義を実施しました。

講義1 「コンピューターを進化!進化型計算の紹介」筑波大学システム情報系 アランニャ クラウス デ カストロ 先生

<受講生の感想>

★講義を聞いて、コンピューターが「進化」という生物の仕組みをまねして問題解決を行うという発想にとても驚いた。また、講義では進化型計算が実際にロボットの動きの設計や複雑な最適化問題の解決に使われていることが紹介され、理論が現実の技術に応用されていることに感動した。単なる計算手法ではなく、自然の原理そのものをヒントにしているところが魅力で、自分もこうした仕組みを使って新しい問題に挑戦してみたいと思った。(高1)

★私は人工知能というと、人間の脳に近づけようとするイメージが強かったのですが、鳥の群れやアリの行動のように、自然界の動きを数学的に捉えて応用する方法があると知り、AIの考え方の幅広さに驚きました。特にBoidsの話は印象的で、すべてを一括で指揮するのではなく、1羽1羽がただ周りを見て動いているだけなのに、結果としてきれいな群れができあがるというのが不思議で面白かったです。複雑な動きが簡単なルールの積み重ねだけでできるという「創発」の考え方を聞いて、自然って本当に理にかなっているんだと感じました。進化計算についても、まるで生き物の進化をそのままコンピュータに移し替えたような仕組みで、新しい設計が生まれていくのが想像以上にワクワクしました。突然変異や選択といった生物の基本原理が、実際に新幹線やアンテナの設計に使われていると聞いて、自然の力がそのまま未来の技術に結びついていると実感しました。授業を通して、「生き物をただ真似する」のではなく、「生き物を生み出した環境や進化の仕組みを理解して技術にする」という考え方が、とても魅力的だと思いました。AIやロボットを見る目が少し変わった気がします。(高1)

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

講義2 「理科系の作文技術を磨きましょう」筑波大学 生存ダイナミクス研究センター 丹羽 隆介 先生

<受講生の感想>

★私は文章を考えるときにさまざまな修飾や補足をしようとしてつい文章を長くしてしまう。それに伴って文章内の単語の相互関係が複雑化し、気づかないうちに格のねじれも起こってしまっていると思う。格の正確性については、書きながら自分でわからなくなっていくこともある。当然、自分でわからなくなってしまうならば相手に伝わるはずもない。これから文章を書く上で、文章を短く、単純な構造にするということ、自分でわからなくなった文章は放置せずに単純な構造に直せないか考え直すことを意識したい。(高2)

★「Science is a writing business」という言葉が非常に記憶に残っています。科学の世界における論文は、研究内容を正確かつ論理的に相手へ伝達するための一種のビジネスであり、読者を説得させるには、わかりやすい表現と筋道の通った論理展開が必要であることを学びました。「Science is a writing business」を念頭に置いて、論理的に構成された文章の執筆を心がけようと思いました。(高2)

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

講義3 「スーパーコンピュータで解き明かす素粒子の世界」計算科学研究センター 大野 浩史 先生

<受講生の感想>

★今回の学習では、素粒子物理という普段あまり触れない分野について知ることができ、とても興味深かった。素粒子が「物質を構成するもの」だけでなく、「力を伝えるもの」まで含むという考え方は難しかったが、自然界をより深く理解する手がかりになると知り、面白かった。特に、電磁気力・強い力・弱い力といった力が、それぞれ異なる粒子を通して働いているという説明は新鮮で、身の回りの現象が見えない粒子のやり取りの結果だと思うと、不思議な気持ちになった。また、小さいものを見るためにも、高エネルギーの粒子を利用したより短い波長が使われているということを知り、素粒子はこんな場面でも活躍しているのかと、とても驚いた。理解するのは簡単ではなかったが、その分、学ぶ楽しさを強く感じる内容だった。(高1)

★今回の講義を通して感じたのは、科学というのは単に「難しいことを知る」ためのものではなく、「自分たちが生きている世界をより深く理解するための道具」なのだということだ。素粒子を研究することは、一見すると遠い世界の話のように思えるが、実際には私たち自身の体や地球、宇宙を作っている基本の仕組みを探ることにつながっている。そんな壮大な研究を支えているのが、スーパーコンピュータという現代の技術だということも知り、理系の学問の面白さを改めて感じた。大野先生は講義の最後に、「スーパーコンピュータは、見えない世界を‟見るための望遠鏡”のようなものだ」ということがとても心に残っている。今回の講義をきっかけに、科学の世界をもっと知りたいと思った。(高1)

カテゴリー: お知らせ パーマリンク