TLコース研究室体験が行われました

TLコースでは、それぞれの興味に合わせて研究室に配属される「研究体験」が行われます。今年は6人の受講生が参加し、7月25日から27日まで二泊三日で行われました。
アシスタントをしてくれた大学院生・大学生に、体験の様子を伝えてもらいました。
■数学分野/竹山美宏先生OLYMPUS DIGITAL CAMERA
初日は、竹山美宏先生の解析接続とその方法に関する講義から始まった。具体例としては、ガンマ関数の解析接続を考えた。その後、解析接続を示す問題演習を行った。演習後は再び竹山先生による講義が行われた。
2日目は、リーマンのゼータ関数に関する講義から始まった。初日に学習したことと関連付け、ゼータ関数の解析接続を考えた。その後、数学のミレニアム問題であるリーマン予想について解説がされた。それに関連して、ベルヌーイ数も取り上げられ、ゼータ関数との関連付けも行われた。その後、ガンマ関数とベータ関数の関係性を示す証明問題を演習として行った。最後に学習のまとめとして、発表準備と発表練習を行った。
この2日間で、大学数学の中級程度の話から、未解決問題に至るまでを概観できたと思う。また、演習問題に取り組むことで、大学で行われるゼミの雰囲気も少なからず味わえたのではないかと思う。個人での学習では気づきにくい点や、あいまいな点の解決法を身に着けることもできたいい機会だったと思う。(中村憲史)
■物理分野(宇宙観測)/中井直正先生DSC02996
今回の実習は、中井直正先生による天体望遠鏡の原理と系外惑星の探査に関する講義から始まった。レンズの原理、2枚のレンズにより対象が拡大されて見える現象、望遠鏡の性能について解説していただいた。実習としては、実際に天体望遠鏡を組み立て性能評価を行った。レンズの後ろから光を当てスクリーンに像が写ったときの距離を測り、講義で学んだ式からレンズの焦点距離を測定した。この結果から倍率を求めカタログ値との比較をした。また、接眼レンズの見掛け視界の角度、および対象が視界一杯に広がる時の見込む角度を求め、望遠鏡の倍率を直接評価した。さらに、かえで通りに出て、2mmの幅で点を打った紙を看板に貼りつけ、それを遠くから望遠鏡で覗いてその点が互いに見分けがつかなくなる距離から、望遠鏡の角分解能を測定した。
系外惑星探査の講義では「なぜその発見に至ったか」という事にも触れられていて、実習生も興味深そうに聞いていた。今後の研究や仕事をする時に、今回の講義のことを思い出して欲しいと思う。望遠鏡の性能評価をする時も、複数回測定し測定誤差を小さくするよう努める・測定値が理論値と近くなると喜ぶ等、積極的に実習に関わっていく姿勢がこちらとしても嬉しかった。(伊佐見薫)
■物理分野(プラズマ物理)/坂本瑞樹先生IMG_0494[1]
2日間で主に下記のことを行った。

  1. プラズマについての説明
  2. 原子とイオンの発光原理の概説
  3. プラズマ発生装置と分光器の説明
  4. 水素プラズマの観察、および分光測定(プラズマ加熱のパワーを変えて)
  5. ヘリウムプラズマの観察、および分光測定

参加者が実験装置に触れることやプラズマの観察等、普段ではなかなかできないことを体験してもらったので、楽しんでもらったと思う。(田中裕樹 伊能俊太朗)
■物理分野(物性理論)/吉田恭先生13892379_1774652136009570_4630127080256515990_n
物性物理学の根幹をなす統計力学の基礎をなしている確率論、ランダム性について学習した。完全な乱数が満たす平均と分散の値を実際に計算し、Mathematicaで与えられる乱数が果たして上記の条件を満たすかどうかをパソコン上で実験しヒストグラムを作り評価した。また試行回数やサンプル数を増加させたときの挙動を観察し、確率論の基礎である対数の大数の法則と中心極限定理が成立していることを確認した。最後に単純な応用として、物質中の電子のスピンが確率的にどう振る舞うかを低温、高温の二つの条件下で観察した。(浅井海図)
■工学分野/相山康道先生・望山洋先生DSCN2820
2リンクマニピュレータの場合の運動学(各リンクの関節角の角度から手先位置を出す方法)や逆運動学(手先位置から各リンクの関節角を出す方法)およびマニピュレータの特異点など、マニピュレータの特性について学んだ。また、シミュレータを用いて手先の位置によってどのように各リンクの関節角がどのように動くかを検証し、実際に2リンクマニピュレータの実機を用いてシミュレータと同様に動かすことができるかを実験した。
2リンクマニピュレータの逆運動学を解くためには、逆三角関数というまだ習っていない数学の知識を利用する必要があったが、受講生は先生から説明を受けながら理解していた。先生が用意したエクセルファイルをもとに図形を描くために2リンクマニピュレータの手先位置を計算して、実機を用いてある程度思っていた通りに動かすことが出来た時にはうれしそうであった。(本地正弥)
■化学分野/後藤博正先生DSCN0308
初日は実験に関する説明やノートの取り方の指導をしたあと、電解重合実験を行った。二日目はポリマーの色変化測定実験を行い、データのまとめと考察をおこなった。参加した受講生は化学についての知識が豊富かつ好奇心も旺盛であり、実験には積極的に取り組んでくれた。導電性高分子の合成から測定までを一貫して行えたため、高分子の作り方からその電気特性(電圧に対する色変化)について深い理解ができたと思われる。彼も実験の過程でポリマーの色変化に対する驚きや感動の表情を見せてくれた。(林宏紀)
 
 
 

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